<何が起こるか分からないから面白い>
会津学鳳高校3年生の高橋駿士(たかはし はやと)選手は、2024年の夏に開催されたインターハイ・八種競技で優勝を果たした。走る・投げる・跳ぶ…陸上競技のあらゆる要素が詰め込まれた種目で「1種目目で負けたとしても、2種目以降の残りの7種目で勝てば八種競技は勝てるし、何が起こるが分からないという点がすごく面白い」と高橋選手は語る。
<技術・体力・精神力が求められる>
二日間に渡って8種目(100m、400m、1500m、110mハードル、走り幅跳び、走り高跳び、やり投げ、砲丸投げ)を行い、その合計スコアを競うこの競技。各種目をバランスよくこなす高い技術、そして長丁場を戦い抜く強靭な体力と精神力が求められる。
<中学王者のプレッシャー>
高橋選手は、この八種競技で2024年のインターハイに出場。合計6125点で大会記録を8年ぶりに更新し、優勝するという快挙を成し遂げた。
「中学校3年生のときも、全国中学校体育大会の四種競技で優勝していて、そのプレッシャーも大会中にあった。そのプレッシャーから解放されたのと、そこでもう一回みせてやったというのが嬉しい」と話す。
<中学生から始めた混成競技>
高橋選手の武器は高い瞬発力。得意の投てきと短距離の種目で得点を伸ばした。
小学4年生から陸上を始め、元々はハードルが専門だったが、父・聡さんとの何気ない会話をきっかけに、複数の種目を行う混成競技の存在を知り、中学時代から挑戦を開始した。
<目立てるのが魅力>
高橋選手は八種競技の魅力を「スタジアムで誰よりも目立つ」と話す。「僕自身すごく目立ちたがり。八種競技だと八種目に出られるので、観客からすごく見られて。そこで記録が出せれば、注目されるのでそこも目立ちたい」という。
そのための、練習もほかの種目にない努力が求められる。
<八種競技ならではの苦労>
一日の練習で何度も履き替えるスパイクは、競技ごとに8種類。試合用と練習用を合わせると、17足を使い分けている。
高橋選手は「1つならその種目に特化した練習に絞る事ができるが、僕の場合は8種目あるので、それを8つやらないといけない。組み合わせや、調整の部分でもどういう練習をするか練習の立て方はすごく難しい」と語る。
長距離種目で求められるのは体の軽さやテンポ感。一方、短距離や投てき種目では大きな筋肉が必要となるため、バランスがとれた身体づくりは至難の業だという。
<今後は十種競技に挑戦へ>
まさに「八刀流」で戦う高橋選手を、2年生も驚きと尊敬の目で見つめている。2年生の風間悠希さんは「八種目をやるのは、ちょっと考えられない。僕は短距離だけで精一杯な感じ」と話す。
インターハイでの優勝後、大学からのスカウトも増えたという高橋選手。卒業後は進学し、棒高跳びと円盤投げが追加された十種競技に挑戦する予定だという。
「四種競技・八種競技ときて、その競技の過酷さというのは僕自身、身に染みているが、十種目も人の前に立てるという高揚感というか楽しさもあり、世界と戦えたら良いなと思っています」と高橋選手は語った。
目指すは、十種競技のチャンピオンに与えられる「キングオブアスリート」の称号。インターハイ王者は、世界の舞台を見据えている。
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